私はこうして泥沼にはまりました
Written by Rine
今を遡ること18年、私が中学生の時 名画「MAD MAX」を見た。
そこに登場するインターセプター(フォード ファルコン)は私を虜にした。
しかし中学生の私がV8のアメシャに乗れるわけもなく、記憶の片隅に追いやっていた。
高校生になりバイクの免許をとってホンダCB750Fをかった。しばらく気が紛れていた。
その後スズキカタナに乗り換えた。しばらく楽しかった。

バイクで事故ったわけでは無かったが、乗り続けることが怖くなった。
「このまま走っていたらいつか事故るな。」と思いながら走っていた。
二十歳になったころ車の免許をとった。
何を買うか迷ったがV6の中古国産車(フェアレディZ31)にした。当時の車としては速か
った。確か170馬力ぐらいだったか?
このころオートマの車に乗る男はバカだと断言していた。
1989年、アメリカに留学している友人宅に遊びに行った。学生アパートといいながら彼
のコンドミタイプの家はあまりに豪華だった。芝生の庭に、広々ガレージ、乗っていたの
が真っ黒な87IROC-Zだった。ハッキリいって嫉妬した。

大学を卒業するころ、スキーにハマったがこれにはZ31はあまりに不向きだった。
家庭の事情もあり、家族が乗れる車に買い替える必要もあった。それでオートマのテラ
ノに乗り換えた。スキーにはバッチリだった。がスノボに転向した。このころスノボをやっ
ていると「それなんですか?」なんて聞かれるのが楽しかった。
その後就職してからもこの車は重宝していた。
11年乗って14万キロ走った。
この間、故障はなし。オルタ、ターボタービン、ウインドレギュレーター各一回ずつ交換
しただけだ。
今考えると夢のような話だ。

三十路にはいり、平凡なサラリーマン生活にカンフルが欲しくなった。貯金が大好きだ
ったのでハッキリ言って金はあった。
マセラッティーシャマルを探した。コーンズで極乗車が650万ぐらいだった。何度か通っ
て色々話を聞いたが「フェラーリとマセラッティーはメンテに金かかりますよ!」とはっき
り言われた。貧乏性の僕には痛い一言だった。
650万もだして、まだその先があるんかい?と思ってあきらめた。

33才になった昨年、テラノのラジオがこわれた。修理しなくちゃと考えていたがしばらく
ほっといた。
7月の蒸し暑い日、帰りの電車で後輩のカーセンサーを取り上げた。
ぱらぱらと流し読みしていると真っ白なIROC-Zが出ていた。しかもIROC-Zとしては正規
輸入されなかったTバーだった。
たった68万円。 
「おれ、明日これ買ってくる」「先輩、酔っぱらってんですか?」後輩は相手にしなかった。

場所は「カー○イント○南」というインチキカーショップだ。別に隠すことはない。ここから先
の話はすべて事実だ。出るトコにでても戦うだけの自信はある。が時代がネットでの誹謗
中傷に敏感になっているので、大人として伏せておく。
訪れるとシャコタンの車に混じって88IROCのTバーが2台置いてあった。白と黒2台とも
買っちまおうかと考えたが、思いとどまった。
私よりかなり若い店長さまは色々熱心にセールスしてくれた。
エンジンが掛からなかった。バッテリー上がっていた。ジャンプしてエンジンスタート。もう
一人の若い店員がバンバン吹かす。「いいでしょー」と言わんばかりだ。
車検切れで試乗は不可とのこと。「程度はどうなんですか」と聞くと「ウチではオークション
で落としたあと、テスト走行して問題の無いものしか売りません」とのこと。
「整備なんかはやってやってくれるのか」ときくと、「社内でアメシャ専門に扱っている支店
もあるのでその辺は心配ない」とのこと。その日はそのまま帰った。
カナダに住んでいる友人にチルトンを買って大至急送れとメールを出した。
次の週末、再度その店に行った。

次の条件で購入を決めた。
乗っているテラノについては下取りでなく廃車にする。決して再販しない(愛着があったの
で他の人間に乗って欲しくなかった)そのかわりカマロについては値切らなかった。
エンジン、ミッション、足回りについて3ヶ月保証、納車時にオイルとプラグ交換。車検とっ
て整備して99万ぐらい。(これは最近わかったことだが結局プラグすら換えていなかった
ようだ)
テラノは買い取り専門店では20万ぐらいと言われていたが、知らないところで乗られるく
らいなら自分で潰したかった(わかるかナー、この辺の気持ち?)

納車まで約2週間。8月の暑い日に納車となった。
店頭納車となる。
雨の中、車屋にいくと「コーヒーでもどうぞ」と言われる。事務所でコーヒーを飲みながら何
気なく窓に目をやると、さっきコーヒーを入れてくれた茶髪のバカ女が俺のカマロの中で何
かやっている。タオルで雨漏りを拭いていたのだ。
「アメシャのTバーじゃしょーがねーか」と考え見なかったことにしてやった。
コーヒーを飲み終わり、キーを受け取った。

店を後にして500メータ位走ったとこでなんか変だ。リアが左右に振られる。
V8のトルク変動だと飲み込んで家に帰る。「しかしこのランプなんだろ?」煌々とひかる
SESを見ながらそんなことを考えていた。
翌日アドボールに持ち込んでATオイルなど油脂類交換。目的は車の状態を診断してもら
うことだった。
社長いわく「これ買っちゃったの?」「えっ!なんかまずいですか?」
このあと耳が痛い話を聞くことになった。
「まず排気漏れ、かなりひどいよ。それから水温計、壊れてる。点火系もだめね。パワー出
てない。ATFは焦げてるし、クーラントも茶色く腐ってる。サーモ開きっぱなし。エア吸いもあ
るね。アイドリングも安定してない。かなりやばい感じだよ。あとねクルコンはユニットごと取
り外されてるしスピードメーターはケーブルついてないよ。」そう言えばメーター動いていな
かった。

その足で「カー○イント○南」にもどり状況を報告。修理依頼。なんたって3ヶ月保証だ。
カマロを預けることになり代車が手配されたが、なんと俺の廃車になる約束のテラノちゃん
が「フル装備4WD、カーコンポ、社外アルミ、オバフェン、エアコン」のプライスカードをのせ
て停まっていた。これが代車だという。腹が立ったが怒ってもしょうがない。
騙された自分が悪いのだ。怒っても「そんな約束していない」と言われればそれまでだ。
念書でも取っとけばよかった。と考えて元の愛車に乗って帰った。

なかなか修理が終わらず、約20日ぐらいしてやっと修理できたというのでカマロを取りに
行った。テラノを返すときに悪戯をさせていただいた。
走行に関係ない電装系のハーネスを全部取り払っておいた。エンジンはかかり、走るこ
とは出来るが電装系は使い物にならない。ハーネスを切ったのではなく、コネクターの根
っこからニッパーで取り払っておいた。オルタの中には水を差しておいた。ベルト類は溶
剤系のパーツクリーナーで掃除してやり、仕上げに以下のような手紙をかいてシートの
下に貼っておいた。
「この車を買われた不幸な方へ この車は私が廃車を依頼した車です。あちこち不具合
が発生する予定ですが、ご存知のように「カー○イント○南」さんは国産車は1年間完全
保証ですので安心して修理をご依頼下さい。」
帰る途中でまたエンストを繰り返す。再入院。
これを繰り返すが、3ヶ月経過して保証期間終了。結局治ったのはスピードメーターケー
ブルが付いたことだけだった。
車検受け渡しでスピードメーターケーブルが付いてないって事は完ぺきなインチキ車検
だ。リアのブレーキパットは完全に無くなっていた。(ローター見事な段付き状態だ)
この辺は車検受け渡しなら当然やってるだろうと考えた俺がいけなかった。
世の中にはインチキ車検があることをすっかり忘れていた。

タイトルは「泥沼にはまった」としたが、こんなインチキショップにはまったことは泥沼では
ない。ここでいいたい泥沼とは、修理がおもしろくなっちまったことだ。
カマロを購入して以来、自分の余暇のほとんどが修理に食われている。楽しいのだが、
人生半ばにして車に大量の時間をさいてしまっている。
最近これで良いのだろうかと考えてしまうことがある。

なお、かなり長くなったのであるが、BBSなどでリクエスト頂ければ、この後の「カマロち
ゃんが走った。奇跡の復活編(修理はこうやれ!)」の執筆も検討しております。
 

[Return]